丸善丸の内本店で新春恒例となっている「年始め洋書そるど市」、今年は1月5日~10日まで開催されました。
私は初日の夜に訪れて、これが物凄く良かったので、遅ればせながらふりかえってみたいと思います。
洋書そるど市、始まりは確か1965年(うるおぼえなので間違ってる可能性あり)とだいぶ歴史があり、丸善御茶ノ水店など丸の内本店以外の店舗でも規模や時期を変えて開催されています。
これがほんとにお得な催し物で、なんとペーパーバック税込み550円(ハードカバーや写真集などは別)と、とにかく安い。
文庫本より安いのです。
私は通常、ウェブストアで洋書を購入していて、大体ペーパーバックが2000円前後、ハードカバーだと3500円越えが当たり前、毎回もう少し安ければいいのにと思いながら購入しているため、めったにないこの機会、気になる本をボンボン買い物カゴに投入していったら、あっという間にカゴ一杯になってしまいました。
夜いってこれだから、昼間だったらきっと、もっと掘り出し物があったことでしょう。
一通り物色した後、カゴの中の本をもう一度見直し、半分くらい戻して、今回私が購入したのはこんな感じ。
上から順に、
① A ROOM OF ONE'S OWN / VIRGINIA WOOLF
② TO THE LIGHTHOUSE / VIRGINIA WOOLF
ヴァージニア・ウルフはイギリスの小説家・評論家。
①は「自分ひとりの部屋」、②は「灯台へ」。
ヴァージニア・ウルフはずっと読みたいと思っていながら、随分前に文庫で短編と「オーランドー」を途中まで読んだきり。
①は彼女の作品の中でも特に読みたいと思っていた1冊なので、見つけたときは、え?ほんとに550円でいんですか?
まさかここで出合えるなんて、、、思わずうろたえました。
①の中でウルフが提示した有名な一節。
「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」
これはフェミニズム観点からもよく引き合いにだされますが、フェミニズム云々はおいといたとしても、すべての女性の心に突き刺さる言葉ではないでしょうか。
ちなみにこの本が最初に出版されたのは1929年。
③ THE SCHOOLDAYS OF JESUS / J.M.COETZEE
セール会場で物色してたら、隣にいた方から「これ面白かったよ」とおすすめされ購入した本。
何故か私、その方にライバル意識を持たれまして、側にいたお嬢さんに「彼女(私のこと)、僕が見つける前に欲しい本を取ってしまうんだよ」などと(もちろん冗談でですけど)言ったりしてました。
たぶん好きな本の雰囲気が似ていたんだと思います。
④ A LITTLE PRINCESS / FRANCES HODGSON BURNETT
⑤ LITTLE WOMEN / LOUISA MAY ALCOTT
児童文学といえばの、”A LITTLE PRINCESS”「小公女」と"LITTLE WOMEN"「若草物語」を選んでみました。
2023年に入ってほとんど読めてないですが、昨年からの児童書ブームはいまだ続いてます。
⑥ THE YAGE LETTERS / WILLIAM S. BURROUGHS & ALLEN GINSBERG
「麻薬書簡」原書。
バロウズ(小説家)とギンズバーグ(詩人)による書簡を収録した1冊。
2人がどんな英語表現を使って文章を綴ったのか興味を持ち購入しました。
⑦ ANIMAL FARM / GEORGE ORWELL
ジョージ・オーウェル「動物農場」原書。
実は昨年「1984」の原書を購入した際、一緒に買おうとして結局買わなかった正にその1冊なので、見つけたときはまたまた「え?ほんとに550円でいいんですか?」状態。
⑧ BLOOD AND GUTS IN HIGH SCHOOL / KATHY ACKER
キャッシー・アッカ―「血みどろ贓物ハイスクール」原書。
もうここまでくると、これを見つけたときは動揺に近い感情を抱きました。
どうしてこれがここにあるのか。。。
一体どうなっているんだ。
⑨ BUY YOURSELF THE F*UKING LILIES / TARA SCHUSTER
⑩ BEAUTIFUL BROKEN THINGS / SARA BARNARD
共にタイトル買い。
1冊550円だとこんなこともなんなくできて楽しいです。
いい加減550円550円うるさいか。。。
⑨の本、普段はタイトルにF*UKINGという単語が入っていると、何かあからさまな気がして選択肢から外す傾向にあるのですが、この本は妙に印象に残るものがあり購入。
⑪ THE METAMORPHOSIS / FRANZ KAFKA
お馴染みカフカの「変身」、なんとこのエディション、イントロダクションを映画監督のクローネンバーグが書いてます。
10ページ弱の短い文章とはいえ、それを読みたいがために購入しました。
ちなみにクローネンバーグは昆虫に変身するとしたらトンボがいいそうです。
⑫ AT NIGHT, I BECOME A MONSTER / YORU SUMINO
「よるのばけもの」英訳版で著者は「君の膵臓をたべたい」の住野よるさん。
私にとってはこの歳になって、これが人生初のライトノベルとなりました。
タイトルが気に入って手に取り、ん?ヨルスミノ?もしかして日本の作家?
表紙を見るとやっぱり、下の方に「君の膵臓をたべたい」の著者とあり。
こちらは購入後さっそく読んでみました。
夜になるとばけものに変身してしまう男の子が通う中学校のクラスでは、ひとりの女の子に対して酷いいじめが繰り返されていて、でもクラスの全員がそれに賛成しているわけではなく、反対すると自分もいじめられてしまうから同調しているふりをしています。
以前こちらで紹介した児童書”HOW TO BE BRAVE"のようなストレートさはないけれど、この本が発するメッセージに、それと通じるものを感じました。
HOW TO BE BRAVEはHOW TO BE YOUであり愛であると。
それにしても、”AT NIGHT, I BECOME A MONSTER”、ホントにいいタイトルで、ブログタイトルこれに変えたいいくらいです。
ということで、そのままマネするのも何なので、AT NIGHTをAT MIDNIGHTに変えて(そんなんじゃ変えたことにならないか・・・)ブログタイトル「変幻自在」の下にちょっと拝借。
訳者を確認したら、Diana Taylorとあり。
⑬ WHAT IS LIFE ? / PAUL NURSE
こちらはハードカバーの本、ダイヤモンド社から日本語版も出てます。
ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者ポール・ナースが綴る生命とは何か。
何故か私、”LIFE”という単語がついてると興味をそそれれてしまうのですよねー。
著者が最初に生物学に興味を持ったきっかけ、一羽の黄色い蝶だったそうです。
この本はそんなエピソードから始まります。
そこからきてるのかな、、、なんて美しいカバー!
⑭ MACHINES LIKE ME / IAN McEWAN
ちょうど今読み始めたところです。
舞台は1980年代のロンドン。
主人公がアダムという人型ロボットを購入して、そのパーソナリティを恋人と2人で形成していくという話。
私は常に胸騒ぎを覚えながら読んでます。
読者をドキッとさせるエピソードが文中ちょいちょい挿入されていて、McEWANうまいです。
AIものということで、こちらを読み終わったらカズオ・イシグロの「クララとお日さま」と読み比べてみたくなりました。
ちなみにこちら、Amazonでチェックしたら3254円で売ってます。
再び、モノの値段、不思議だ。。。
⑮ FIND ME / ANDRE ACIMAN
映画にもなった”CALL ME BY YOUR NAME”の著者による作品。
表紙買いした1冊。
映画「君の名前で僕を呼んで」といえば、主演をつとめたティモシー・シャラメの新作映画「ボーンズアンドオール」、日本公開が迫っていますね。
⑯ ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND / LEUIS CARROLL
ルイス・キャロルのお馴染みアリス、これは150周年記念エディション。
絵本コーナーで見つけました。
イラストはサルバドール・ダリ。
以上、私以外の方々にはどうでもいい、がしかし本人にしたらとても嬉しい戦利品、でした。
本、決して読まなくても、ただ持ってるだけで幸せな気持ちになりませんか?
和書でもこういうセールないのかなあ。。。
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