Andre Aciman の "Find Me” を読みました。
”Find Me” は映画にもなった ”Call Me By Your Name” の続編。
私はたまたまこの本を昨年の洋書そるど市(丸善で開催される洋書セール)で見つけ、まず第一にこの、”Call Me By Your Name”感満載のカバーデザインを無視できなかったこと、第二にこの本に対する評価が妙に低いということ、自分で読んだらどのように感じるか、確認してみたいという思いもあり購入することにしました。
この本は4つの話で構成されていて、まず始まりは前編の主役 エリオ(映画ではティモシー・シャラメが演じた)の父親と偶然電車の中で知り合った若い女性ミランダとのロマンス。
”Call Me By Your Name”の続編とはいえ、このふたりのロマンス話に一番紙面が費やされています。
個人的には、”Call Me By Your Name”に対する思い入れもなく(そもそも読んでない)、続編だからといって前編ファンの期待を裏切ってはいけない、とも思ってないので、そういうことはどうでもいいのですが、日頃ロマンス小説を好んで読まないせいか、登場人物(特にエリオの父親とミランダ)の言動に首をかしげるばかりで、たとえば出会って間もない段階で子供がどうのお互いのからだにタトゥーを入れる(結局入れない)だの、話が極端過ぎて最初は引き気味でした。
が、しかし、にもかかわらず、ページをめくる手がどんどん加速していったのは、3つの理由によるかと。
① 読み進めるうち、この本は、愛、そしてまた運命についての本だと気づき、ならばこの共感し難いストーリー展開もこれでいいんだと、受け入れられるようになった。
普通だったら思わず引いてしまうような言動も、運命の人を前にしてのことだったら、運命に導かれているのだったら、これくらい極端でよく、いやむしろ、これくらい突っ走ってて当たり前かと。
エリオの父親もミランダも、個人的にはこちらから近づきたくないタイプですけど、でももし、ソウルメイトとか運命的な繋がりというものがこの世に存在するのなら(私はあると思っている)、こういうかたちもありかと思えた。
② 文体がよい。
私にとって、この本を魅力あるものにした一番の大きな理由がこれです。
なんだろう、、、とても中毒性のある、美しいライティングスタイルで、登場人物にたいする共感度はさほど高くないにもかかわらず(何度も失礼なこと言ってすみません、悪気はありません)、この著者の文章をもっと読みたいという気分にさせられました。
読み進める中で、思わずメモリたくなる表現がたくさんありました。
③ 著者の哲学に共感。
小説というのは、ある意味、それを書いた著者の哲学に触れているようなものだと感じることがあるのですが、私にはこの本もそういう類の本でした。
ストーリーの中に散りばめられた著者の人生観には共感するところがありました。
たとえば、登場人物たちの現実味ない行動に一度は引いたとします。
でも、なぜそういう行動になったのか、述べられる理由がとてもいいんですね。
最初、行動には納得いかないところがあっても、あとに続く何故そうなったのかを読むと、なるほど、そういうことかと、納得させられる。
”Find Me” by Andre Aciman、私的には星4つ。
読んでよかったと思うし、たぶんこの先のどこかで、もう一度読み返すことがあるような気もします。
表現が豊かで英語の勉強にもなりました。
なのに星5つでないのは、単に好みの問題で、作品の良し悪しではありません。
なにはともあれ。
どうでしょう?
運命、信じます???
■ Find Me
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