変幻自在ブックス

At Midnight, I Become a Monster

My Sin, My Soul

Lo. Lee. Ta.

Lolita, light of my life, fire of my loins. My sin, my soul. Lo-lee-ta: the tip of my tongue taking a trip of three steps down the palate to tap, at three, on the teeth. Lo. Lee. Ta.

 

ウラジミール・ナボコフの「ロリータ」は、こんな情熱的な詩で始まります。

見事過ぎる殺し文句を冒頭からぶちかますナボコフ。

うまい。

 

 

Sulpicia's Playlist

'Uh-oh, Love Comes To Town'

from the 77 album by Talking Heads.

'Let Them All Talk' by Elvis Costello,

from Punch the Clock, reissued on digital cassette.

 

'How Spook Got Her Man' by Felt,

from The Pictorial Jackson Review LP.

'Rape Me' by Nirvana.

from In Utero, on CD.

 

'Bigmouth Strikes Again' by The Smiths,

on the Rough Trade label.

'Rip It Up' by Orange Juice;

the picture disc single.

 

'I Can't Help Myself' by Orange Juice,

from Rip It Up, the album.

'The Final Resting of the Ark' by Felt,

on vinyl.

 

Simon Armitage の Sulpicia's Playlist という詩。

古代ローマの詩人 Sulpicia に関する知識が皆無でも、何故か記憶に残ります。

シンプルでわかりやすくて面白い。

この詩に初めて触れたとき、Tsukue's Playlist だとどうなるのか考えてみましたが、気に入るものには仕上がりませんでした。

ただ曲名を並べてもダメなのですね。。。

さすが詩人。

うまいです。

 

プレイリストといえば、余談ですが、BBC Radio の Kurt Cobain Forever Playlist 、とてもよかったです。

Nirvana 好きのかた、よろしければ以下リンク貼っておきます。

 

www.bbc.co.uk

 

grew

When you come back, I'll tell you about all the things that have happened to me. I'll tell you about how I grew wings, how I grew talons, about how my silver ring grew black. If the world vanishes before then, I'll become the wind and wait for you. That's how I get through the sad days.

 

上記は日本文学翻訳家であり作家でもある Polly Barton さんによる「キラキラ」という曲の英訳(一部)なんですけど、、、すごい、「羽が生えた事も 深爪した事も シルバーリングが黒くなった事」のところ、全部同じ動詞 grew で揃えています。

さすが翻訳家、うまいなあ。。。

細かいことを言えば、「深爪した」の対訳が "grew talons" であるかは定かでないけど、個人的には英訳歌詞のほうが好みです。

Pollyさんはこのシンガーが描く女性像に魅かれていない様子だった(否定ではない)ので、もしかしたらあえて逆のイメージを打ち出したのかなと、思わず深読みしてしまいます。

何といっても、羽が生えたわけですからね!

"grew talons" と続けることで、日本語歌詞とは異なる世界観が広がって、これもまた面白いような気がします。

言葉選び、ときに難しいけど、楽しいです。

 

ケンブリッジ大学では哲学を専攻されていたPollyさん、英語の先生として日本滞在中は日本語習得のため日本語の曲をよく聴き、中でもこの「キラキラ」という曲は繰り返し聴いたと、著書 "FIFTY SOUNDS" に記されています。

"FIFTY SOUNDS" は、エッセイであり彼女の私的日本語辞書であり、また個人的には、もうひとつのロスト・イン・トランスレーション(ソフィア・コッポラ監督による2003年の映画)のようにも感じました。

言語と繋がるあらゆること、たとえば文化とか国民性とか思考とか習慣とかアイデンティティとか私たちを取り巻く物事について、また当たり前のように使用している日本語という言語について、立ち止って考える機会をこの本によって与えられたような気がします。

 

 

最後にまた余談。

本と一緒に写ってるケーキは、mille et luca のいちごブラウニー。

この間友達と遊んだとき、「美味しいよ」といただきました。

ケーキ、お茶/コーヒー、本で、大概のストレスは吹っ飛びます。

 

いつの間にか東京は桜が満開。

廃人と化して引きこもっていた年末年始が遠い昔のことのように感じられます。

Spring has come !

 

hengenjizai.work

 

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