変幻自在ブックス

At Midnight, I Become a Monster

It's not magic, it's practice, and love

最近、読書も大掃除ということで、部屋のあちこちに転がる読みかけの本を片っ端から読んでいる。

今年が終わるまでに何冊読み終えることができるか、ひとり年の瀬チャレンジです。

 

そんな中、「途中でやめたままにしないでよかった、最後まで読んで本当によかった」と、特に強く感じたのが、Tara Schuster のノンフィクション "BUY YOURSELF THE F*CKING LILIES"。

 

 

この本は、20代後半にさしかかった著者が、これまでの悪習を払拭し成長し直していく旅の過程を、Cheyl Strayed 言うところの "Write like a motherfucker" ごとく、ものすごい熱量で書き綴った告白であり宣言でありメッセージであり著者そのものである、と私は思う。

仕事では若くして成功をおさめ、いつだって順調そうにみえてるけど、実はまったくそうではなく、幼年時代にうけたトラウマから激しい自己否定に苛まれ、どん底から助けを求めていた。

 

この本については以前ここにも読みかけの段階で少しだけ感想を書いたけど、なんだろうな、特に変わったことが書かれているわけではないのに、妙に面白い。

で、それは何故かなと考えた時、やっぱり共感だろうなと。

著者がこの本の中で熱く語っているのは、日々のふるまいや人間関係や暮らしについてなどの基本的なことで、しかもその内容は改めて言われなくてもわかっているようなことばかりなんですけど、、、なんでしょう、響くんですよ。

どれもリアルで、どんな立場にあっても役に立つことばかりで、説得力がある。

 

たとえば、

 

So remember. With their behavior, expression, words, and attention, people show you, every day, exactly who they are. This holds true for you, too! If you don't hold the door open for people behind you, you show that you are the type of person who thinks it's okay to shut a door in someone's face. 

人というのはあなたに毎日、態度や表情、言葉、気配りで、その人がどういう人間なのか表している。そしてもちろんこれは、あなたにもいえること。もしあなたが、後にいる人のためにドアをおさえてあげなければ、あなたは他者の顔の真ん前でピシャリとドアを閉めても大丈夫な人間だと示していることになる。

 

そしてまた、

 

Don't blame yourself for other people treat you, because you have zero control over that. Instead, the thing you have control over is how you react.

あなたに対する他者の態度で自分自身を責めないこと、だってそんなこと、あなたがコントロールできることじゃないんだから。その代わり、どう反応するか、その主導権はあなたにある。

 

タラさんの考えは良い意味での自己愛に重きが置かれていて好感が持てる。

そして彼女は、その自己愛の本部にあたるとして自分の部屋・スペースにも重点をおいているのだが、その中でこんまりさんへ異議を唱えている。

 

Confession: I don't love Marie Kondo's "The Life-Changing Magic of Tidying Up". I find the idea that there is only one way to organize your life off putting.    

コンフェッション:私はマリエ・コンドーの「人生がときめく片づけの魔法」が好きじゃないです。暮らし(または人生と訳したほうがいいのか、近藤麻理恵さんの著作未読のため判断つかず)を整えるのに、ひとつの方法だけという考え方にはぞっとします。

 

と始まり、この後かなり強めにこんまり・メソッドへの反論が繰り広げられます。

一応付け加えておくと、上記の訳はすべて私の意訳。

皆様が思う訳とは違うかもしれまん。

そして、「たったひとつの方法」とはアレですね、手に取ってときめいたらキープ、そうじゃなかったらポイ(でしたっけ?すみません、これについても近藤麻理恵さんの著作未読のため不確かです)。

タラさんはこんまり・メソッドにそうとう納得がいかないようで、もうこの話は終わったものだと読み進めていると、2度3度と話が蒸し返され、その都度異議が唱えられます。

近藤麻理恵さんの著作を読んだことないので、どちらの意見に賛成ということもないですけど、ひとつ思うのは、、、私は約2年前、引っ越しを機にかなりものを処分しました。

これまでの人生の中で、こんなにものを捨てたことは初めてで、その時は莫大な時間とエネルギーを費やしました。

私はものを捨てることは、ある意味過去を捨てることだと思っています。

だから、そう簡単に白黒つけれなくて当然だと思うし、その判断にこれはときめかないから捨てる、とはしませんでした。

こんなこと改めて言うまでもないけど、別にカオスだって、今流行りの丁寧な暮らしじゃなくたって、自分らしく生活できていればそれでいいのではないかと。

 

"BUY YOURSELF THE F*CKING LILIES" は、先へ進めば進むほど面白さが増す本で、特に終わり方がものすごく良かったです。

それはパリ旅行のエピソードで、著者のタラさんは「こんな浅はかな終わり方なんて」と思われてしまうんじゃないかと気にしておられるが、そんなことはない、それがホントに良かった。

私は読み終えた後、心がジーンとあたたかくなり、しばらくそのまま動けなかった。

以前読み途中の段階でこの本の感想をここに書いた時は、「面白いけど、私のこの1冊的な本にはならないと思う」というようなことを書きましたが、今はこの著者の他の作品も読んでみたいと思っています。

 

hengenjizai.work

 

2024年は彼女のように気に入った習慣があればどんどん盗んで、もっといい年にしたいなあ。

 

少し早いですが、この記事が今年最後の投稿になるので、、、いつもここにお越しくださる皆さま、そして本日たまたまという皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

この1年、ありがとうございました!

 

 

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