変幻自在ブックス

At Midnight, I Become a Monster

初めての益子、ワグナー・ナンドール・アートギャラリーへの旅、2022秋

宇都宮駅発益子行きバス乗り場に着いて、時計をみたら10:44。

ちょうど10:43発のバスが行ってしまった後でした。

バスは1時間に1本しかないようで、次は11:43。

 

仕方ない、ここで少し早めのお昼を済ませるか。。。

すぐそこに入り口がみえる、パセオという名の駅ビルに入ってみました。

本当は益子に着いてから、どっかのカフェでランチしようと考えていたのですが。

 

入ってすぐ、バーガーメニューの立て看板が目に入りました。

せっかく栃木に来たのに、ぜんぜん栃木っぽくないけど、バーガー好物だし、まあいいか。

 

一人旅の一食目、チーズバーガー


簡単ランチを済ませ、今度は無事11:43発のバスに乗り込みました。

バスは定刻に出発。

いよいよ久々一人旅の始まりだ。

 

 

車内はというと、、、乗客まばら、そしてサンルームの中みたいに明るくてあったかい。

高いビルがないので、前後左右から日光が燦燦と降りそそぐんですね。

これから益子まで約1時間の旅、いい日向ぼっこになりそうです。

 

 

気づいたら、雲があとをついてくる。


写真を撮ったり、うとうとしてる間に、益子到着。

陶芸メッセ入り口というバス停で下車すると、通りには陶器店がずらりと並んでいました。

 

 

陶芸のまちに来てなんですけど、陶器にはあまり興味なく、今回その辺はスルーです。

まずは益子を訪れることにした目的の場所へむかうべく、地図を見ながら通りを進みます。

いやしかし、春と秋に開催される陶器市の動画とか見ると物凄い人出だけど、普段はこんなもんなんですかね、人もあんまりいないし、ゆったりしてる。

 

 

目的の場所というのはワグナー・ナンドール・アートギャリー。

春と秋にそれぞれ1カ月間くらいしか開館されないアートギャラリーで、今ちょうど秋季展が開催されてるところです。

ギャラリーは小高い丘の上にあるので、大通りからひゅっと曲がって坂をのぼります。

距離的には先ほど下車したバス停から10分くらい歩いたところ。

 

天気がよくて、坂道をのぼっていると暑いくらい。

細い道に影はなく、直射日光が頭に降りそそぎます。

今の自分の日常生活だと、歩く道路の片側には大抵ビルの影が落ちてるので、日光から逃げ場のない、この光の強さ、恥ずかしながらちょっと忘れてた。

 

 

さっき陶器にはあまり興味ないって書いたけど、白く上がる煙と、この独特のにおい、、、陶器を焼くにおいなんですかね、詳しくないので分からないですが、何だかとても魅かれるものがあります。

ここに着いて、まだ30分くらいしか経ってないにもかかわらず、益子という土地に早くも心を鷲掴みにされてしまいました。

 

 

特に大通りから中に入って、自然豊かなこの土地の美しさが炸裂します。

どのお家も広いお庭で、ブランコとか切り株の椅子とかあって、何だかとっても豊かさを感じます。

 

 

そこかしこに、普通に転がるものがいちいち美しく、つい見入ってしまいます。

 

 

このギャラリーまでの坂道、距離にしたら大したことないのですが、目に入るものすべて無視できないものばかりで、先を急ぎたい気持ちがありつつ、でも抗えない美しさについつい立ち止まってしまい、なかなか先へ進めませんでした。

 

益子の美しさに一人大興奮で、下車したバス停から一体どれくらい時間がかかったのか、やっとのおもいで辿り着きました。

私は、ここに来たかったのです。

 

ワグナー・ナンドール・アートギャリー

 

受付ではスタッフの方々があたたかく迎えてくださいます。

芳名帳に記入して(嫌なら書かなくても大丈夫)、案内をききながら何となくおしゃべりをして、私がこのギャラリーのため益子に初めて来たというと、とても親切にしてくださり、貴重なお話しもたくさん伺いました。

 

ワグナー・ナンドール・アートギャラリーは、ハンガリー出身のワグナー・ナンドールさんとちよさんによる邸宅美術館です。

彫刻家であり哲学者でもあったワグナー・ナンドールさんが、亡命先のスウェーデンで日本人女性の秋山ちよさんと出会って恋に落ち、1966年結婚、1969年移住のために来日、そして1970年益子にアトリエを建設しました。

建物も庭もおふたりで築き上げたそうです。

なんとブルドーザーまで購入し、ナンドールさんご自身が運転されたとのこと。

 

ナンドールさんは1997年に、そしてちよさんは2021年に亡くなってしまいましたが、ナンドールさんは生涯を通して常にその国の真の利益と、自分の周りの人々の幸せの為に努力を惜しまなかったそうです。

その為に全エネルギーを投じて仕事に没頭し、それ以外の考えで制作した作品は一点もないと。

 

ナンドールさんはおっしゃいます。

 

私は文化、宗教などの相違点よりも各々の共通点を探しているのです。

共通点を通してしかお互いに近づくことは出来ないのです。

 

私はナンドールさんのこの思いに深く共感します。

 

ワグナー・ナンドール・アートギャラリーは一見狭そうに見えて実はとても広く、見るところがたくさんあります。

「とにかくゆっくりしていってください!なかでお弁当食べてもいいし、ランチで一度外に出て戻って来ても大丈夫ですから!」

受付の方々からあたたかく送り出され、まず足を踏み入れたのはナンドールさんのアトリエでした。

建物のなかは撮影禁止なのでお写真ないですが、作品だけじゃなく、建物のつくりや置いてある家具など、さすが芸術家のアトリエ、面白いです。

そしてちょっとひんやりした空間にナンドールさんの気配も感じられました。

 

このアトリエの中で私が一番印象に残ったのは、ナンドールさんの代表作のひとつであるハンガリアン・コープス像でした。

これは戦時下(第2次世界大戦)、ナンドールさんの目の前で亡くなった兵士をモデルにしているそうですが、たとえそういった作品の背景を知らなくても見る者の心を掻き立ててしまう強烈な光を放つ作品です。

 

アトリエの外観

 

ワグナー・ナンドール・アートギャラリは、彫刻や絵画などの作品はもちろんのこと、庭園がとにかく素晴らしく、季節の美しさをこれほどまでに引き出してしまうってほんと凄いなと、言葉では言い尽くせない感動をおぼえました。

そしてこの中に身を置いていると、心が浄化され、自分の奥底から力が湧き出てくるのを実感します。

ものすごいパワースポットです。

 

 

 

 

 

 



ちょっと中途半端ですが、この先だいぶ長くなってしまいそうなので、今回は一度ここで終わりにします。

次回はワグナー・ナンドール・アートギャラリーの続きから始まります。

 

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