自分の中で、何かが大きく動いた1冊、"Rememberings" by Sinead O'Connor
Sinead O'Connor はアイルランドが誇るシンガーソングライターであり活動家であり個人的には詩人でもあったと思っています。
残念なことに2023年、彼女は56歳という若さでこの世を去り、これからは 、She is sooooooo beautiful ではなく、She was soooooooo beautiful と、過去形で賛美しなくてはならなくなってしまいました。
この、彼女の回顧録 "Rememberings" は2021年に出版されました。
小さな女の子だった頃のことから少しづつ、優しく語りかけるように、これまでの思い出深い出来事を振り返っていきます。
難しいことは何ひとつ書かれておらず、覚えていることをただ書いているだけのようで、そこは唯一無二の存在ですから、どうしたって文章は詞的で美しく、またどんなときも自分の意志を貫き、正直に人生と向き合うなかで発せられた言葉の数々は勇気に満ち溢れ、痛いほどこちらの心を揺さぶりました。
まるで "Rememberings" という、彼女の激動の人生を弾き語った、ひとつのアルバムを聴き終えたら生まれ変わっていた、と言ったら大げさかもしれないけど、でもこの本を読む前と読んだ後では、確実に自分のなかの何かが変わりました。
Do what I love. Be imperfect. Be mad, even. Anything. i don't define success as having a good name or being wealthy. I define success by whether I keep the contract I made with the Holy Spirit before I made one with the music business. I never signed anything that said I would be a good girl.
事務所から髪を伸ばし、もっと女の子らしい恰好をするように言われ、頭を坊主にしたこと、テレビ番組の生放送中にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の写真を破ったこと、またその直後、ボブ・ディランのトリビュートコンサートで、本来うたうべき曲ではなくボブ・マーリーの ”War” を叫ぶようにうたったこと、などなど、彼女の行動は物議を醸し出すことが多かった。
そして世の中は、そんな彼女の行動をみてスターへの道を踏み外したと言った。
それに対して彼女は、踏み外したのではないと。
それによって踏み外しかけていた道を本来あるべき自分の道へと修正できたのだと。
この本を読むまで、彼女は雲の上の存在で、ただ一方的に憧れてるだけだったけど、不思議なことにこの本を読んでからは、彼女がすぐそばにいて、常に語りかけられているような気がしてなりません。
これまで心を動かされた本は多々ありますが、これは私のバイブルだと感じた本は、この本が初めてでした。
そして実はそういうバイブルといえるような本がずっと欲しかったので、彼女がこの本を残してくれたこと、感謝してもしきれません。
決断に悩んだ時この本のことを思い出せば、自分の選ぶべき道が見えてくるような気がします。
彼女は私にとって終始、a great singer with no desire for fame であり、唯一無二です。
Sinead,
Your memoir "Rememberings" moved something so deeply in me.
I just want to say thank you for your life and your music.
You are my one and only.
この曲をうたうときはいつも、交通事故で亡くなったお母さんのことを想っているそうです。
あ、、、「想っている」じゃなくて、「想っていた」、ですね。。。
過去形を使わなければならないこと、なかなかしっくりきません。
スポンサーサイト