変幻自在ブックス

At Midnight, I Become a Monster

【編み物】52 Weeks of Easy Knits

やっと涼しくなってきて、この秋冬は是非とも編み物に挑戦したいと、こんな本を買ってみました。

 

52 Weeks of Easy Knits

 

フィンランドベースの出版社LAINEによる編み物教本。

LAINEは女性2人によって2016年に立ち上げられ、この52Weeksシリーズは他にもいくつかあり、また"LAINE"という編み物とライフスタイルの雑誌なんかも出版しているようです。

紹介されている作品は、セーター、ベスト、ビーニー、マフラーなど。

どれも飽きのこないシンプルなデザインで、それでいてさり気なくスパイスもきいており、写真を見ているだけでも楽しいです。

 

対象は初めて編み棒を持つ超初心者から気楽に編みたい経験者まで。

ややこしいものはなく(とありますが、そう言われても初心者の私にはホントにそうなのか判断できず)、それでいて編んでみたいと思わせる可愛さがあるんだけど、一番衝撃を受けたのは実はそこでなく、教え方です。

私が見慣れてる日本の編み物の本は、解説文とともに必ず編み図や写真、イラストがついており、目を増減するところや編み方を変えるところなどが一目瞭然で、材料を用意したらすぐに編み出せるような感じだけど、なんとこの本には図説という概念がほぼない。

というか、巷には参考になる動画などがネット上にたくさんあるから、それらもあわせて活用するようにと堂々紙面ですすめていて、この本では材料、パターン読解、テクニック、作り方の説明、ほぼすべて文章のみで構成されています。

日本の編み物教本だと必要な道具や毛糸の種類を説明するのに、必ずサンプル写真が掲載されているけど、コチラその説明も徹頭徹尾文書のみです。

なので私のような初心者は特に、作品の作り方へ進む前に用意されている下記項目をじっくり読む必要が出てきます。

 

  • A Knitter's Basic Tools
  • How to Read Patterns
  • Take Time to Finish
  • Learning the Techniques
  • Terms and Abbreviations

 

最初は、時間が有り余ってるわけでもないし、すぐ取りかかりたいのに面倒だなと思いました。

でもその後ふと頭に浮かんだのが阿部公房『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』の中に書かれていたこと。

さてこの本の最後を矢野氏はいわば「知識人」のすすめで結んでいる。その「知識人」の意味は文字どおり、たくみに外国語をあやつり、より多く外国について識る人のことのようである。しかしぼくは識ることよりも、考えることのほうがはるかに大事なような気がしている。

 

確かに、画像付きの解説は一瞬で物事を識ることができますが、文章による解説は頭の中で手の動きや糸のかけ方などをあれこれ考えながら時間をかけて読み進めることになり、はるかに考えるような気がします。

そしてそれは何らかの差異を生むような気がするのですが考えすぎでしょうか。

 

どちらの教え方がいいというわけでもないし、今回買った本がたまたまこうだっただけかもしれないけど、1冊の本からお国柄のようなものを感じることができ、面白いなあと思いました。

 

P.S. ちなみに『死に急ぐ鯨たち・もぐら日記』は今年、阿部公房生誕100年を記念して新潮文庫から復刊されました。

読書が右脳にもたらす効果とか、知らないと損することがいろいろ書かれているように思います。

 

■ 52 Weeks of Easy Knits

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■ 死に急ぐ鯨たち・もぐら日記

https://amzn.to/47Ixieu

 

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