遅ればせながら、初めてサリー・ルーニー作品を読みました。
”Normal People” はアイルランドの作家 サリー・ルーニーの世界的ベストセラー小説。
デビュー作 "Conversations with Friends" に続き2018年に出版されました。
あらすじは検索すればいくらでも出てくるので、ここでは割愛しますが、私としては何と言ってもこの本、日常英会話の参考書だと思いました。
幼馴染のマリアンとコネルの複雑なラブストーリー、登場人物ほぼ学生ということもあり、会話の中に難しい言い回しがないうえ、日常の何でもない動作(お茶を淹れる、ワインのコルクを抜く、濡れた髪をタオルで拭く、などなど)がそのまんま、しかも頻繁に描写されているので、こういうとき英語だとこうなるんだと、つど確認できるのがよいと感じました。
また、これは会話においての口癖とでも言えばいいでしょうか、この本の中では "like" と "kind of" が多用されているんですけど、個人的にこの二つ、ほんと便利な言葉だと思います。
たとえば以下。
Kind of depends on what you would want to do, he said.
あとこれ。
I'm sorry you didn't have a good time, but like, it was a funeral. I don't know what you expected.
上は、妊娠してるのではないかというコネルの問いに、妊娠はしてないけど、もししてたらどうするというマリアンの返しに対する彼の答え。
そして下は、友人のお葬式の後、一緒に参列した彼女(マリアンじゃない)から何故あなたの友達に私を紹介してくれなかったんだと責められ、コネルが返した答え。
太字の "like" も "kind of" も別になくてもいいと思うんだけど、曖昧さをふくませたり(kind of)、「みたいなもの」とたとえたり(like)するときなど、つい出てしまう言葉のように思います。
”Normal People” は参考書としてだけでなく、お話自体も面白かったです。
私はマリアンとコネルの恋の行方が気になって、ページを捲る手が止まりませんでした。
ちょうど半分くらい読み終えたあたりで、「期待以上に面白いけど全266ページ、この後どうやってもたせるんだろう」と気になりだした頃、うわ、そうくる!という展開があり、さらにグッと引き付けられ、その後はもう一気に読んだ感じ。
It was such a good page turner!
登場人物のキャラクター立ても巧みで、何気ない会話の中の一言や返答が、その人物の本質を表していると思いました。
著者が意図的に組み込んでる言葉が、「こういう人いるよな」と頭の中に人物像をわかせ、それが共感となり、面白みを増させました。
サリー・ルーニーさんの人間観察力、鋭いです。
ちょうど最近、彼女のデビュー作に対する酷評を読んだところだけど、過剰に否定しているときって個人の感情が大きく作用しているような気がして、個人的にはあまり信用できません。
是非とも彼女の他の作品も読んでみたいと思いました。
あともうひとつ個人的には、コネルのお母さん(シングルマザー)のことがとても気になりました。
サリーさん、10代でコネルを出産した彼女の物語を読んでみたいです。
P.S. とはいえ洋書高いので、なかなか手を出しにくいだろうとAmazon検索してみたら、コンディション良好で中古品(税込み1096円+送料430円)もあるようです。
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