最近読んだ本、"COLD ENOUGH FOR SNOW" by JESSICA AU。
まずはこの青いシンプルな装丁に目を奪われ、あらすじを読んで更に興味が湧き、これは絶対読みたいと思いました。
本のページにはまさに雪を連想させる一際白い紙が使われていて、デザイン的にもとても美しい一冊です。
内容は、それぞれ別の街に住む母と娘が海外からやってきて日本を旅するというもの。
空港で待ち合わせ、電車を乗り継ぎ市街へ出て、ホテルで、アートギャラリーで、カフェで、それぞれの道のりで、過ごした時間にみたもの、感じたこと、蘇る記憶の数々と、その時々の心の動きや状況を静かに観察し描写していきます。
ドラマティックな展開は一切なく、最後まで淡々と時が進みます。
ただ、それで退屈に感じるかというとそんなことはなく、私はひとたび本を開いたらページをめくる手が止まらなくなりました。
語られていることは本当に些細なことなのに、何故かどんどん引き込まれていきました。
この本の言語は英語ですが、文体も単語もシンプルで非常に読みやすく、英語学習としてもおすすめだと思います。
私も勉強になりました。
94ページと薄い本なので気負いなく読めますし、なんといっても、お話の舞台が慣れ親しんだ日本なので、少々わからない単語があっても、語られている状況を想像しやすいという利点があります。
語り手の日本での描写が細部まで恐ろしく行き届いていて、ほんとビックリしますよ!
ちなみに、、、語り手(娘)の第一言語は英語(日本語勉強中)、母は広東語、そしてそれを第一言語日本語の私が読んだわけです。
よく、都会から離れた自然豊かな場所のことをなにもないけどすべてある、みたいな言い方をしますが、私はこの本もそれだなと思いました。
なんにもないようで実はこの中にすべてがある、そんなふうに感じました。
だからこれだけ面白いと思ったし、私も真似して日常をこんなふうに描写してみたいと思ったし、1ページ1ページ噛みしめながら大切にページをめくりたい本だと思いました。
皆さま、おすすめです!
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