あっという間に2月も半ばに差しかかり少し遅れをとりましたが、雑談多めの、1月の読書まとめなどしてみようと思います。
私の読書量は月平均5冊前後で、本を読むのは好きだけど特にたくさん読むタイプではなく、しかしそのくせ本を集めるのが好きです。
少ない冊数ではありますが、どなたかの気を引く作品があれば嬉しく思います。

写真上から
- 山の家 クヌルプ / エクリ編著 192頁
- 言語化するための小説思考 / 小川哲 189頁
- 詩集 マダムジョジョの家 / 金井美恵子 83頁
- PIRANESI / Suzanna Clarke 245頁
- ALL FOURS / Miranda July 326頁
1. 山の家 クヌルプ / エクリ編著

クヌルプとは長野県諏訪市霧ヶ峰に佇む山小屋のこと。
名前の由来はヘルマン・ヘッセの『クヌルプ』から来ているそうです。
本書は、その山小屋のオーナーである松浦寿幸さん・小夜子さん夫妻への3年に渡るインタビューをまとめたもの。
山小屋の創業60年目となる2017年8月1日に出版され、残念ながら寿幸さんはその1年後2018年8月2日に急逝されたそうです。
私が手にしたのは2025年に出版されたその文庫版なのですけど、とても上質な紙を使用しており、文庫とは思えない美しい仕上がりになってます。
そして編著を手掛けたエクリとは、2006年に須山実さん・佐喜世さん夫婦が本当に出版したいと思う本をつくるため設立した出版社。
年1冊の刊行ペースで主に詩画集を出版しており、なんと記念すべき第1冊目は私の大好きな宇野亜喜良さん挿画による詩画集『恋愛』詩 / ポール・エリュアール+アンドレ・ブルトンでした。
須山夫婦は家族で長きに渡りクヌルプへ通うなか、霧ヶ峰という土地と小屋と松浦夫妻に魅せられていき、そしてその募りに募った想いがこの本を生むこととなりました。
来るものは拒まず精神で居候(一時期は宿泊客より多かったそう)を受け入れたり、突然ドイツへ留学してしまったり、詩集を出していたり、寿幸さんはとても魅力的な方だったように思えるのですけど、しかし私がそれ以上に気になったのは、不良少女みたいだという小夜子さんの存在。
ストーブ談話の中に小夜子が入ることはなかった。厨房との境にある小窓の内側で、いつも煙草を吹かしている。輪の外にいて、目を凝らし耳を立てているふうではなかったけれど、何もかも把握していて、寸言は的を外さなかった。私の次男が小夜子を評して「不良少女みたいだ」と言ったことがある。小夜子にとっては誉め言葉のはずだ、多分。
山歩きなんてしたことないですけど、私もクヌルプを訪れてみたいのだな。
磨き上げられた床、黒光りする柱と梁、手作業が随所に生きる木の調度、そしてその中には本棚もあり。
クヌルプの本棚、覗いてみたいです。
今週のお題「山」
若干無理矢理ですが、クヌルプは山の家ということで、お題にかけてみました。
それと、須山夫妻は出版社の他に木林文庫という私設図書館も運営しており、そちらでYouTubeチャンネルを開設してるんですけど、最新動画のアリスについてがとても興味深い内容です。
「君は消えちゃうんだ」「ローソクみたいにー」
2. 言語化するための小説思考 / 小川哲
こちらについては以下で少し書いてます。
よろしければご覧ください。
3. 詩集 マダム・ジョジョの家 / 金井美恵子

初版発行1971年、情熱と戦慄の花の処女詩集。
昨年訪れた詩の古書市 in 北鎌倉 2025で購入しました。
なんだろう、、、読んでると無知で未熟で不安定だった自分の青春時代が蘇ってきて、何だか切ない気持ちになるんだなあ。。。
以下、あとがきより。
一八歳から二十一歳までの間に書いたこれらの詩を、わたしは二度と読みかえしたくないような気もするけど、切ない思いでまざまざとこれらの詩の背後を記憶の中からよみかえらせることも出来る。しかしまあ、これで一つの落着が形ばかりはついたようであり、とはいえ、これからもわたしは詩人といわれるたびに顔を赤らめ戦慄し、口をゆがめるだろう。処女という免罪符をつけなければとてもこれを詩集などと自称するのも恥しい気がする。処女詩集という無知と盲目の情熱の所産も、一生に一冊はあってもわるくないだろうと自分を納得させている。
どの詩からも情熱が、というか金井さんの心が溢れ出していて、内容がということではなく、多分その爆発する怒涛さが、自分の青春時代の心の動きと重なって、あの頃の自分へと連れていかれてしまうのだと思う。
4. PIRANESI / Suzanna Clarke

PIRANESIは彫像が立ち並ぶ、迷宮のような、とても不思議なところに住んでいて、でも、彼が何故そこに住んでいるかはネタバレになってしまうので書かないですけど、この作品が放つ世界観もSuzanna Clarkeの文章も絶妙に美しく、また物凄く独創的です。
最後の一行を読み終えたとき、自分はなんて豊かな読書体験をしてしまったのだろうかと驚きました。
PIRANESIは、白鳥の骨で作られたフルートで作曲もします。
一体どんな音楽を奏でるのか、多分それは私が一度も聴いたことないような音楽で、だけどきっと感受性豊かな、優しさに溢れた音楽なのだろうと思う。
先週、雪が降ったとき、街中の街路樹やフェンスやパーキングメーターなんかの上に雪が積もっていくのを見て頭に浮かんだのは、この本の中のこの光景でした。
It was the very depths of Winter. Snow was pied on the Steps of the Staircase. Every Statue in the Vestibules wore a cloak or shroud or hat of snow. Every Statue with an outstretched Arm (of which there are many) held an icicle like a dangling sword or else a line of icicles hung from the Arm as if it were sprouting feathers.
無限の美と優しさに包まれたい方、おすすめです。
5. ALL FOURS / Miranda July
この本については以下で少し書いてます。
よろしければご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞご贔屓に。
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