とにかく面白かったこちらの本。

以下、本書裏表紙より抜粋。
A semi-famous artist announces her plan to drive cross-country, from Los Angeles to New York City. Thirty minutes after Leaving her husband and child at home,she spontaneously exits the freeway, checks into a nondescript motel, and immerses herself in an entirely different journey.
All Fours tells the story of one woman's quest for a new kind of freedom. Part absurd entertainment, part tender reinvention of sexual, romantic, and domestic life of a forty-five-year-old female artist, All Fours transcends expectation while excavating our beliefs about life lived as a woman.
主人公の女性はそこそこ有名なアーティスト、夫と幼い子供がひとりいる。
女性に名前はないが、夫はHarris、子供はSamといい、Samは幼くして既にノンバイナリーであることがわかっている。
なので両親ともにこの子に対して性別を表す代名詞を使用することはなく、代わりにtheyを使う。
かなり大きな仕事が舞い込み、女性はニューヨークを訪れることになる。
どうせなら行くならと飛行機はやめて、住まいのあるロサンジェルスからニューヨークまで車で横断する計画を立てる。
が、しかし、夫と子供に見送られ自宅を出たその30分後、突如高速道路をおり、何の変哲もないモーテルにチェックイン、そしてそこで全く異なる旅へと没頭していく。
All Foursは、新しい自由のかたちを追求するひとりの女性の物語。ふざけたエンターテインメントでもあり、45歳女性アーティストの性的・ロマンス的・家庭的ライフの改革でもあり、女性として生きる信条を掘り下げる中で思惑を超越する。
というのが上記抜粋に補足を加えた私流意訳なのですが、個人的にこの本、かなりハマりました。
この著者の独特の世界観、ユーモアのセンス、どれをとっても面白くて、この方いつもこんな作風なのだろうかとどうしても気になり、思わずこの本読んでる途中で彼女の他作品ポチリました。
道理に反し、ばかげたことをしているようなんだけど、この女性、ふざけているわけではなく、いつでも大真面目で、しかもそんな外れたことしながら内面はとても繊細で傷つきやすい。
そして感情の乱れ・不安定さは年齢を重ねることでくるものだったり、出産時に受けたトラウマだったり、女性特有の悩みも関係しており、著者はそういう女性の心と体の問題や家庭・社会における自由について、エンタメにのせ巧みに描いていると思いました。
主人公の夫Harisは、たぶん音楽プロデューサーか何かで、この本読んでる限りどちらかといえば良い夫なのだろうし、子供のことも溺愛しているし、立派なお家もあるんだけど、それでも彼女は家庭で女性に課せられる期待にずっと疑問を感じているし、自分という人間をこんなもんで終わりにしたくないという野望もある。
そして、秘密もある。
読み終えた後にこの本の表紙、黄金色に染まる世界と崖を見て、私はふとタロットカードの愚者のカードが頭に浮かんだんだけど、なんというかこの本、女性を解放し、ここからが新たな人生の始まりだと鼓舞してくれるような作品だと思いました。
唐突にタロットカードを引き合いに出してしまいましたが、愚者のカードというのは始まりを意味するカードで、すぐ先は崖だというのにそんなことはまったく気づかず、意気揚々と歩く若者の姿が描かれています。

この本、一度廻った人生が出発地点に戻り、、、いや、もしかしたら年齢を重ねやっとスタート地点に辿り着いたのかもしれないですけど、どちらにせよ、ここからが新しい人生の始まりだと勇気づけてくれる作品で、2026年をスタートするのに、これほど打ってつけの本はないと思いました。
私自身は結婚もしてないし子供もいないけど、着実に年齢を重ねている女性のひとりであることは紛れもない事実であり、その中で変化していく心と体も感じています。
たぶんこの本、ばからしいと感じる方もおられるだろうし、みんなから好かれる本ではないと思う。
が、しかし、個人的には、これこそ女性に読んでほしい作品だと心から思いました。
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