変幻自在ブックス

At Midnight, I Become a Monster

【児童書】When Hitler Stole Pink Rabbit

こちら、ずっと気になりつつなかなか読み出せなかった児童書。

 

When Hitler Stole Pink Rabbit by Judith Kerr

 

著者は絵本『おちゃのじかんにきたとら』でもよく知られるJudith Kerr。

ドイツ生まれのユダヤ人であったJudithが1930年代、台頭するナチスから逃れ、家族とともにスイス、フランス、イギリスへと亡命した体験を小説化したもので、本書はその3部作中の第1作目にあたります。

 

何不自由なく幸せな子供時代を送っていたAnna(この本のなかでJudithは自分のことをAnnaと名乗っています)はある日突然、家も学校も友達もおもちゃも母国も何もかも捨て、スイスへと亡命しなくてはならなくなります。

Judithの父Alfred Kerrは、ヒトラーが選挙に勝って政権を握る前から、執筆やラジオ放送で彼らを容赦なく批判していて、特にヒトラーに目をつけられていました。

ドイツを脱出したときJudithは9歳で、そのときは何も知らなかったそうですが、ヒトラーが政権を握る前に発行した彼らの新聞には名前のリストがあり、そのリストはもし選挙に勝利したら即刻銃殺する人物の名簿で、その1番目に彼女の父親の名前があったそうです。

お手伝いさんがあれこれ世話をやいてくれる恵まれた生活から一変、突如無一文の難民となり、Annaは亡命先でその国の言語を習得する苦労を味わい、また新しい学校や友達とも順応していかなければならなくなります。

 

'Is a refugee someone who's had to leave their home?' asked Anna.

'Someone who seeks refuge in another country,' said Papa.

'I don't think I'm quite used to being one yet,'said Anna.

'It's an odd feeling,' said Papa. 'You live in a country all your life.Then suddenly it is taken over by thugs and there you are, on your own in a strange place, with nothing.' 

 

これはAnnaの10歳の誕生日に彼女がお父さんと交わした会話の一部。

まさかこの日をスイスで、しかも難民としてむかえることになろうとは想像すらしていなかった2人。

Annaが「難民というのは故郷を離れなければならない人のことなの?」と尋ねると、お父さんは「他国に保護を求める人のことだよ」と答えます。

いや確かに、故郷を離れなければならないのは難民だけに限らないわけで、たぶん私だったら迂闊にも「そうだよ」なんて答えていたと思います。

自分が難民だということになかなか慣れないというAnna。

ずっと住んでいた国が突然悪党どもに乗っ取られ、終われるようにその国を出て、辿り着いたのは全く知らない土地、頼る人もおらず、しかも無一文。

家族がスイスへ持参できる荷物はとても限られていて、Annaが一緒に連れていけるおもちゃはひとつだけだったんだけど、あとで物凄く後悔するのですよ。

どうしてもはやピンクじゃなくなっても大切にしていたピンクのウサギのぬいぐるみじゃなくて、こんな犬のおもちゃを選んでしまったのだろうと。

私、この気持ち凄くよく分かるんですよねえ。。。

その時はこっちがいいように思えて選ぶんだけど、後になって自分にとって本当に大切なものがどっちだったか気づかされ、でも気づいた時は既に遅し、取り返しはつかない、ということがこれまで私にも何度となくありました。

選択する難しさ、よく分かります。

 

最初に少し触れたように、この作品には続編"Bombs on Aunt Dainty"と"A Small Person Far Away"があり、もちろんそれらも読みたいのですが、これ読んだらお父さんの作品にも興味が湧きました。

かなり早い段階でヒトラーの脅威を察知し、その行く末を見据えていたこのお父さんがいなければ、たぶんJudithはどこの国にも亡命できていなかった。

そしてこれ、過去の他国の他人事でないです。

お父さんの著作、まずは1冊読んでみようと思います。

 

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