窓辺に佇むネコちゃん。
I think she is thinking something.
What is she thinking ?

表紙にネコが描かれていると、つい買いたくなってしまうのですよね。。。
でもまあそのおかげで今回は、ずっと読みたいと思いつつなかなか手を出せずにいたアン・タイラー作品を初めて読むことができました。
アン・タイラーといえば、人間探求の名手みたいな記事をよく見かけ、それで私も気になっていました。
そして実際読んでみて思ったのは、いや本当に、人間描くのうまい、ということ。
日常生活の中で起きるあまり良くないこと、たとえば屈辱的なこととか予期せぬ災難とか苦手なこととか、彼女が取り上げるのはそういうマイナスの部分なんだけど、それを重くなり過ぎることなく、ユーモアを交えサラッと書いていて、この薄い、たった165ページの本の中で人間という生き物を見事に表現していると思いました。
物語はタイトルからお察しの通り、6月のある3日間、一人娘の結婚式前日とその当日とその翌日の出来事。
それは市井の人々による、別に珍しくもないありきたりなことばかりなんだけど、一度読みだしたら最後、物語の中へとグイグイ引き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなりました。
で、それは何故かと考えるとき、思うに共感の嵐によるものではないかと。
「私もそれ苦手」「私もそういうことあった」「私のまわりにもそういう人いる」というような、「それもの凄くよく分かる」という共感の連続であり、読みながらひとつひとつの場面を鮮明にイメージできる楽しさがありました。
特にキャラクター立てが絶妙で、すべての登場人物に対して「そういう人いる」という、頷かないわけにはいかない説得力がありました。
描写はどれも些細なことだったり、その辺に転がってること。
だけどそれ故に読者のツボを押さえるのがうまいというのかな、これはもう、著者の並々ならぬ人間探求力に脱帽です。
で、例えばこれなんですけど。
"Now,now. They liked you very much," he said.
Noticed he didn't say "loved."
これはGail(主人公)とMax(別れたダンナさん)の会話の一部。
彼の両親とよい関係を築けなかったと感じているGailに対してMaxはこう言いました。
「そんなそんな。彼らは君のこと、とても好いていたよ」
これ、フォローしたつもりかもしれないけど、実は全然フォローになってなかった。
というかGailは、ここでちくっと引っかかるのですよ。
彼が"loved"ではなく"liked"を使ったことに。
いや~~~、私もこれ分かります!
当然"love"を使うべきところで、"like"を使われ、へえー、"love"じゃなくて"like"なんだあと、そこで相手を見る目が変わった経験、あります。
細かいことだけど、でも、こういう小さな引っかかりが実は妙に後を引いたりしません?
いつまでもモヤモヤとした気持ちを拭い去れなかったり、不信感を抱くきっかけになったり、こういうことが人間の感情に大きく作用すると思うのですが、私、細か過ぎます?
そして最後に何といってもこの本、ラストがとてもよいのです。
人間関係に悩まされ、傷つき、だけど最後はその人間の寛容な愛、forgivenessに救われる。
個人的にこの夏はディストピア作品ばかりを読み漁っていたせいか、国家の捏造とかいい加減疲れてきていたので、この作品余計に響いたのかもしれません。
人間に癒されたい方、おすすめかと。
お読みいただきありがとうございました。
P.S. 期待通り、ネコちゃんもいい味だしてます!
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